更新日[ 2025/08/10 ]
転職と結婚どちらが先?男女別のベストタイミングと両立のコツを解説
人生の大きな転機となる転職と結婚については、そのタイミングの見極めで悩む人が少なくありません。
キャリアもプライベートも、どちらも大切にしたいからこそ、その順番や進め方には慎重になります。
そこでこの記事では、転職と結婚におけるベストタイミングを見極めるチェックリストや、男女別のタイミングの違い、面接時の回答例などを紹介。
転職と結婚を両立させるためのポイントについても詳しく見ていきましょう。
キャリアもプライベートも、どちらも大切にする転職活動の進め方とは?
- 面接で結婚の予定を聞かれたら、正直に話していいのか迷う。
- 転職してすぐ結婚って、新しい職場に迷惑がかかる?
- 自分の状況に合った最適な進め方を、プロの視点でアドバイスしてほしい。
目次
- 結婚が転職のきっかけになる人の割合
- 転職と結婚、どちらを先にすべき?判断のためのチェックリスト
- 結婚のために転職するメリット・デメリット
- メリット:長期目線でのキャリアプランが描ける
- デメリット:転職の難度が高く、仕事と家庭の両立が難しい場合がある
- 男女で異なる最適な転職タイミング
- 男性の場合:結婚後の転職がおすすめ
- 女性の場合:結婚前の転職が基本的に有利
- 正直に答えると不利になる?面接での結婚について聞かれたときの回答例
- 結婚の予定がある場合:隠さず正直に答え、ポジティブな側面を伝える
- 結婚予定がない場合:正直に答え、前向きな姿勢を示す
- 結婚後の転職の場合:結婚後のキャリアが明確になったことを伝える
- 結婚を理由とした転職を成功させるためのポイント
- パートナーと希望のすり合わせをした上で転職先を考える
- 子育て中や既婚者の正社員が多い職場を選ぶ
- 長期的なキャリアを見越していると面接時に伝える
- 結婚を機に転職活動をするなら、転職エージェントがおすすめ
- 転職も結婚も、理想の未来をつかむための選択肢
結婚が転職のきっかけになる人の割合
結婚が転職のきっかけとなる理由は多岐にわたります。最も多いのが勤務地の変更です。パートナーの転勤や二人の生活拠点の見直しにより、通勤が困難になるケースが挙げられます。将来の家計を考えて、経済的な安定を求める人も少なくありません。
女性の場合は特に、結婚後の出産・育児を見据えて、福利厚生の充実した企業への転職を検討する傾向があります。産前産後休業や育児休業制度の法的権利が取得しやすく、時短勤務制度などの制度が整っているかどうかは、長期的なキャリア形成において重要な判断材料となるからです。
2023年の厚生労働省の「転職入職者の状況」によると、結婚を機に前職を辞めて転職した人の割合は、男性が0.3%、女性が1.6%という結果が出ています。
転職と結婚、どちらを先にすべき?判断のためのチェックリスト
転職と結婚のどちらを先にするのが良いかは、個人の状況によるのでどちらが正解とは言えません。下記の5つのチェックリストを◯△×で整理して、最適なタイミングを見極めましょう。

■年齢・キャリアにおけるチェックリスト
□現在20代で転職市場での評価が高い仕事についている
□30代以上で専門性やマネジメント経験がある
□転職したい業界・職種での経験が十分にある
□資格や経歴など、現在の市場価値に自信がある■ライフプラン・時期におけるチェックリスト
□結婚予定時期が1年以内に決まっている
□出産希望時期は2年以上先である
□育児休業給付金の受給要件を満たしている
□住宅購入などの大きな融資予定がある■現在の職場環境におけるチェックリスト
□今の仕事にやりがいを感じている
□現在の職場は結婚後も働きやすい環境である
□産休・育休制度が整っており、取得実績もある
□勤務地・勤務時間が結婚後の生活に適している
□給与・待遇に満足している■パートナーとの合意におけるチェックリスト
□パートナーと将来の住む場所について合意している
□共働き・専業主婦(夫)などの働き方について話し合っている
□子育ての方針・役割分担について合意している
□家計の分担方法について決めている
□パートナーの転勤・異動の可能性を把握している■転職活動の準備におけるチェックリスト
□転職活動に十分な時間を割ける状況にある
□結婚準備と転職活動の両立が可能である
□転職先に求める条件が明確
<判定結果の目安>
・結婚前の転職がおすすめ(特に女性)
「現在の職場環境におけるチェックリスト」で×が多い
「ライフプラン・時期におけるチェックリスト」で◯が多い
「パートナーとの合意におけるチェックリスト」で◯が多い
・結婚後の転職がおすすめ(特に男性)
「年齢・キャリアにおけるチェックリスト」で◯が多い
「現在の職場環境におけるチェックリスト」で◯が多い
「パートナーとの合意におけるチェックリスト」で△や×が多い
・転職活動の延期がおすすめ
「転職活動の準備におけるチェックリスト」で×が多い
「ライフプラン・時期おけるチェックリスト」で△や×が多い
「現在の職場環境におけるチェックリスト」で◯が多い
このチェックリストはあくまで判断の参考であり、最終的にはパートナーと描く理想の未来に向かって、どちらの選択がより良い結果をもたらすかを総合的に判断することが重要です。また、迷った場合は、転職エージェントなどの専門家に相談することをおすすめします。
結婚のために転職するメリット・デメリット
結婚を視野に入れた転職には、人生設計や働き方を大きく見直すチャンスがある一方、いくつかのデメリットがあります。ここでは、結婚のために転職するメリットとデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

メリット:長期目線でのキャリアプランが描ける
結婚を機にした転職の最大のメリットは、ライフプランに合った働き方が実現できることです。新しい家庭生活を前提に、勤務地や勤務時間、福利厚生といった条件を吟味して職場を選べるため、長期的な視点での職場選びが可能になります。
また、パートナーの意見を反映できる点も大きなメリットです。二人の将来設計について住む場所や子育ての方針などを話し合い、最適なキャリアを共に築いていけます。一人で決断するよりも、より現実的で実現可能な転職先を選択できるでしょう。
デメリット:転職の難度が高く、仕事と家庭の両立が難しい場合がある
結婚を理由とした転職にはいくつかデメリットもあります。特に女性の場合、転職活動の難度が上がる可能性があることは否定できません。入社後、すぐに産休・育休を取得することへの懸念から、採用に慎重になる企業も存在するのが現実です。
タイミングを逃すリスクも考慮しなければなりません。結婚前の転職活動が予想以上に長引くと、希望するタイミングで結婚できなくなる可能性があるでしょう。結婚式の準備や新居の手配など、他の重要な準備に支障をきたすことも考えられます。
新しい環境への適応という課題も見過ごせません。転職して数ヶ月は仕事と家庭、両方の新しい環境に同時に適応していく必要があり、精神的な負担が大きくなることもあります。慣れるまでの期間は、想像以上にストレスを感じる可能性があることを理解しておくことが大切です。
男女で異なる最適な転職タイミング
転職と結婚のタイミングについては、男女で異なる傾向があります。これは、社会情勢や制度的な背景、企業の採用方針などが影響しているためです。それぞれの特徴を理解して、自分に合った戦略を立てましょう。
男性の場合:結婚後の転職がおすすめ
男性の場合、結婚が転職に不利に働くことは、ほとんどありません。むしろ、結婚を機に、家族を養う責任感や安定性をアピールできる点が、企業から評価される傾向があります。
結婚後の生活設計が明確になってからの転職のほうが、現実的でもあります。パートナーとの具体的な生活プランが決まってから、それに合った職場を選択することで、長期的に安定したキャリア形成が可能になるでしょう。
また、住宅ローンなどの大型融資を考慮する場合は、申し込み時点で勤続年数が1年以上ある状態にしておくことが望ましく、審査に通りやすくなります。これは、金融機関が返済能力の安定性を判断する際、勤続年数が重要な評価要素であるためです。国土交通省の調査でも、審査時に1年以上の勤続を求める金融機関は約6割にのぼります。
女性の場合:結婚前の転職が基本的に有利
女性の転職においては、妊娠・出産との関係性を慎重に考える必要があります。会社の労使協定によっては、入社1年未満の育休取得は拒否される可能性があります。また、入社してすぐに妊娠が判明した場合、周囲からの理解を得にくい状況も考えられるでしょう。
特に重要なのが、育児休業給付金の受給要件です。給付金を受け取るための条件のひとつに、「育児休業開始前の2年間に、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上あること」という項目があります。転職直後の妊娠・出産では、この条件を満たせない可能性があるため、経済的な面からも結婚前の転職が有利とされています。
しかし、個人のライフプランによって最適なタイミングは異なるため、自分の状況に応じた判断が最も重要です。
正直に答えると不利になる?面接での結婚について聞かれたときの回答例
男女雇用機会均等法により、結婚に関する質問は不適切とされていますが、実際の面接では聞かれることもあるでしょう。結婚の予定については正直に伝えつつ、長期的に働く意志をアピールすることが重要になります。結婚の予定がある場合、ない場合、結婚後の、それぞれに合わせた回答例を紹介します。

結婚の予定がある場合:隠さず正直に答え、ポジティブな側面を伝える
結婚の予定が明確に決まっている場合、ごまかさずに前向きな姿勢を伝えることがポイントです。例えば、「来春に結婚予定です」と伝えた上で、結婚後も仕事を続ける意志があること、パートナーの理解や協力があること、キャリアに対する意欲をセットで伝えると、採用担当者にも安心感を持ってもらえるでしょう。
<回答例>
「来春に結婚を予定しておりますが、結婚後も仕事は継続したいと考えており、パートナーも私のキャリアを全面的に応援してくれています。現職で培った経験を活かし、御社で長期的に貢献していきたいと考えています」
採用担当者が懸念するのは、「すぐに辞めてしまうのではないか」「家庭を優先して仕事に集中できないのでは」といった点です。したがって、「結婚を通じて生活の基盤が安定し、より一層仕事にも専念できる環境が整う」といった、ポジティブな表現で伝えるのが効果的です。
結婚予定がない場合:正直に答え、前向きな姿勢を示す
現在、結婚の予定がない場合は、仕事への意欲を明確に伝えることが大切です。また、無理に「結婚しないつもりです」と断言する必要はありませんが、「現時点では具体的な予定はない」と落ち着いて伝えれば問題ありません。
<回答例>
「現時点では、具体的な予定はございません。今はまず、御社専門性を高め、戦力として活躍できるよう、仕事に集中したいと考えております。将来的なライフステージの変化があった場合も、これまでの経験を活かして長く貢献していきたいです」
このような回答により、現在の仕事への取り組み姿勢と将来への責任感の両方を示すことができます。
結婚後の転職の場合:結婚後のキャリアが明確になったことを伝える
すでに結婚しており、その後に転職を検討している場合は、結婚によって生活基盤が整ったことや、将来のキャリアを見直す良い機会になったことをアピールしましょう。
<回答例>
「結婚生活を送る中で、将来のライフプランをパートナーと具体的に話し合い、より長期的な視点で自身のキャリアを築いていきたいという思いが強くなりました。その中で、高い専門性を持ち、社員の皆様が長期間活躍されている御社の環境に大変魅力を感じております。これまでの経験を活かし、腰を据えて長期的に貢献していくつもりです」
結婚によって得た安定性と将来への責任感を、キャリア形成の原動力として位置付けることで、企業側にとってもメリットのある人材であることをアピールできます。
結婚を理由とした転職を成功させるためのポイント
結婚を機に転職を考えるなら、「価値観の一致」「環境選び」「企業との信頼形成」の3点を押さえることが重要です。具体的にどうすればいいのか、詳しく見ていきましょう。
パートナーと希望のすり合わせをした上で転職先を考える
結婚を前提とした転職の場合、自分だけでなくパートナーの希望も尊重することが、円満な家庭生活とキャリアの形成に不可欠です。具体的には、下記のような項目について事前にすり合わせておくことをおすすめします。
<パートナーと一致させておいたほうが良い価値観>
・勤務地(引越しの有無、通勤時間)
・勤務時間や残業の頻度
・転勤の可能性
・家計の管理(扶養に入る/入らない)
・休日や休暇の取得しやすさ
・年収の見通しとライフイベントへの備え
このように、転職先の条件と結婚生活の希望を照らし合わせることで、トラブルや後悔を防ぐことができます。パートナーとの丁寧な話し合いは、転職の成功のためにも、円満な家庭を築くためにも欠かせません。
子育て中や既婚者の正社員が多い職場を選ぶ
結婚後の働き方を安定させたいのであれば、産休・育休の制度の有無だけでなく、運用実績がある職場かどうかを見極めることが重要です。
例えば、育児休業取得率や復職率、時短勤務の活用事例などが公開されている企業は、実際に制度が活用されている可能性が高いです。反対に、制度はあるものの利用実績がない企業では、取得しづらい雰囲気がある場合もあります。
また、子育て中の社員や既婚者が多く働いているかどうかも判断材料になります。リモートワーク制度の有無や、柔軟な勤務時間の導入状況など、生活と仕事の両立がしやすい環境かをチェックしましょう。
長期的なキャリアを見越していると面接時に伝える
結婚を理由に転職する際には、一時的な事情ではなく、長期的な視野でのキャリア設計に基づく判断であることを明確に伝えましょう。
例えば、「将来を見据えて、家庭と両立できる働き方を実現したい」「ライフスタイルの変化に対応できる環境で腰を据えて働きたい」といった形で表現すると、採用側も納得しやすくなります。
また、採用担当者は「この人はすぐ辞めてしまうのではないか」といった懸念を持つことが少なくないため、長期的に貢献する意思をはっきりと伝えることで信頼を得られます。
結婚を機に転職活動をするなら、転職エージェントがおすすめ
結婚という人生の大きな節目における転職活動では、転職エージェントの活用が有効といえます。転職エージェントを利用する大きなメリットのひとつは、企業の内部情報を詳しく知ることができる点です。過去の内定者の評判や離職率の高さ、実際の職場環境など、求人票だけではわからない情報を教えてもらえます。
また、結婚や出産というライフステージの変化に合わせたキャリア相談にものってもらえます。経験豊富なキャリアアドバイザーから、同じような状況で転職を成功させた事例を聞くことで、自分の転職活動に活かすことができるでしょう。
面接対策においても、結婚に関する質問への対応方法や、長期的に働く意志のアピール方法など、具体的なアドバイスを受けることができます。一人で悩むよりも、プロの視点からの客観的な意見を聞くことで、より効果的な転職活動が可能です。
転職も結婚も、理想の未来をつかむための選択肢
結婚と転職のタイミングについては、男女で傾向の差はあるものの、最終的には個人の状況と価値観が最も重要な判断基準となります。一般論にとらわれすぎず、自分たちにとって最適なタイミングを見極めることが大切です。
転職も結婚も、より良い人生を築くための手段であり、目的ではありません。どちらを先にするかで悩むよりも、両方を通じて実現したい生活や価値観を明確にすることが、正しい判断への近道となります。
転職活動が思うように進まない場合や、判断に迷いが生じた場合は、一人で抱え込まずに専門家に相談することをおすすめします。転職エージェントのキャリアアドバイザーは、数多くの転職事例を見てきた経験から、あなたの状況に応じた最適なアドバイスを提供してくれるでしょう。
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- 監修者
- 下﨑 和志 (しもざき かずし)
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