更新日[ 2025/10/30

年収が下がる転職はやめたほうがいい?後悔しない許容範囲と交渉方法

「転職したいけれど、年収が下がるかもしれない…」「提示された年収が想定より100万円低かった」
転職活動において、こうした年収に関する不安や悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
実際、厚生労働省の調査では転職によって年収が下がる人の割合は3割以上にのぼり、決して珍しいケースではありません。
しかし、年収が下がるからといって、その転職が「失敗」とは限りません。
この記事では、「年収が下がる転職」を後悔しないために、判断基準となる許容範囲やチェックリスト、年代別の注意点、そして年収を維持するための交渉術まで、詳しく解説します。

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目次

  • 転職で年収が下がる人の割合は32.4%
  • 転職で年収が下がる原因
  • 年収が下がっても転職すべきかの判断基準
    • 年収以外に優先すべき条件を満たしているか
    • 生活水準と年収のバランスは取れるか
    • 将来的な年収アップの可能性はあるか
  • これ以上なら慎重に。年収ダウンの「目安」と「自分の許容範囲」
  • UIターン転職の場合は2~3割年収が下がるのが普通
  • 【実例】転職で100万円以上年収が下がったケース
    • 【Uターン転職】年収が下がっても納得して転職できたAさん(30代・技術営業)のケース
  • 転職すべき?チェックリスト
  • 【年代別】後悔しない転職のために重視したいポイント
    • 20代の転職で重視したいポイント:将来への投資と経験
    • 30代の転職で重視したいポイント:専門性とライフプランの両立
    • 40代以上の転職で重視したいポイント:経験の活用と貢献
  • 転職にまつわる補助金と注意すべき税金のこと
    • 「就業促進定着手当」
    • 翌年の住民税に注意
  • 転職エージェントが教える『年収交渉術』
    • 希望年収の伝え方と注意点
    • 最終面接、内定前の交渉ポイント
  • 転職で年収を下げないためには、情報収集と交渉が大事

転職で年収が下がる人の割合は32.4%

厚生労働省の令和5年「雇用動向調査(転職入職者の賃金変動状況)」によると、転職によって年収が「減少」した人は全体の32.4%にのぼります。
一方で、「増加」した人は37.2%、「変わらない」と答えた人は28.8%でした。

出典:令和5年雇用動向調査結果の概要概況全体版(厚生労働省)

転職で年収が下がる原因

転職によって年収が下がる主な原因には、以下のようなものが挙げられます。

●未経験業種・職種への挑戦によるスキル不足
●企業規模や地域による給与水準の差
●役職・階級の変化
●評価・報酬制度の違い
●残業時間や手当の減少

特に、未経験分野ではスキル不足から初任給が低くなることが多く、また、評価制度の違い(インセンティブの有無や昇給基準の差)も年収に直結しやすい要因です。残業や各種手当の減少も、基本給が変わらなくとも総支給額が減る直接的な原因となります。

年収が下がっても転職すべきかの判断基準

「年収が下がる転職」を受け入れるべきか、それともやめるべきか。
この章では、後悔しない決断をするために、ご自身の「許容範囲」を見極めるための3つの判断基準について、詳しく見ていきましょう。

年収が下がっても転職すべきかの判断基準No.56

年収以外に優先すべき条件を満たしているか

年収が下がっても転職すべきかどうかは、年収以外に優先したい条件を満たしているかが判断の鍵となります。
たとえば、ワークライフバランスの改善、やりがいのある仕事、将来のキャリア形成、勤務地や働き方の柔軟性などが挙げられます。家族との時間の確保や心身の健康回復を望む場合には、年収の減少を受け入れる価値があると言えるでしょう。
転職の目的を明確にし、年収ダウンによるリスクと得られるメリットを比較・検討することが、納得のいく判断につながります。

<参考記事>
転職の軸とは?|面接での回答例文や練り上げるためのステップを紹介

生活水準と年収のバランスは取れるか

転職後の年収で生活費を賄えるかどうかは、ローンや教育費など将来の支出も含めたシミュレーションが不可欠です。年収が下がっても生活水準を維持できるかどうか、貯蓄や配偶者の収入も含めて無理のない範囲かを見極めましょう。
生活の維持が難しい場合は、転職の再検討や家計の見直し、固定費・変動費の節約が必要になります。中長期的な視点で生活と収入のバランスを整えることが大切です。

将来的な年収アップの可能性はあるか

転職によって初年度の年収が下がったとしても、将来的に昇給・昇格・インセンティブ制度などによる年収アップが見込める場合は、年収ダウンは一時的なものとして受け入れやすいでしょう。
企業の評価制度や報酬体系については、面接などで具体的に質問を行い、「入社○年で○万円」といったモデルケースを把握することで、現実的な将来像を描くことができます。
納得のいく転職にするためにも、長期的な視点で生涯年収やキャリアの成長を見据え、転職先の制度や昇給の仕組みを事前にしっかり確認しておきましょう。

これ以上なら慎重に。年収ダウンの「目安」と「自分の許容範囲」

転職による年収ダウンについて、「1割以内」がひとつの目安と言われることがあります。なぜなら、1割を超える減少は生活への影響が現実的に大きくなる場合が多いためです。
実際に、厚生労働省の調査(※)でも、「年収が1割以上減少した」人は全体の23.4%にのぼることが示されており、決して他人事ではありません。

※出典:令和5年雇用動向調査結果の概要概況全体版(厚生労働省)

ただし、これはあくまで一般的な目安です。本当に大切なのは、「ご自身の状況にとって」どの程度の減少までなら許容できるかを見極めることです。
例えば、
・UIターン転職で生活コストが下がる場合
・年収以外に(働きがい、ワークライフバランスなど)強く優先したい条件がある場合
・将来的な昇給が見込める場合
などは、1割を超える減少を受け入れる判断も十分に考えられます。

この「1割」という目安を参考にしつつ、前章で解説した「判断基準」(年収以外・生活・将来性)と照らし合わせながら、ご自身の「許容範囲」を慎重に判断することが重要です。

UIターン転職の場合は2~3割年収が下がるのが普通

UIターン転職では、地域の給与水準の違いにより、年収が2~3割ほど下がる可能性も視野に入れておきましょう。
とはいえ、地方は家賃や物価が低いため、年収ダウンになったとしても生活水準を維持できるケースも少なくありません。

<キャリアアドバイザーからのアドバイス>

私たちリクパーキャリアは、九州・沖縄エリアへのUIターン転職を数多く支援してきました。
その経験から、UIターン転職に伴う年収ダウンについて悩まれている場合には、特に以下の3つの観点から検討頂くことをアドバイスしています。

・下がった年収でも、地域の生活費とのバランスは取れるか
・将来的な昇給制度やキャリアアップの可能性はあるか
・その地域で、長期的にキャリアを築いていけそうか

年収の額面だけでなく、働き方や暮らしの質を含めた総合的な視点で判断することが、後悔のない、納得のいくUIターン転職につながります。

<参考記事>
Uターン転職のメリットとは?デメリットと併せて解説

【実例】転職で100万円以上年収が下がったケース

ここでは、私たちリクパーキャリアが実際にご支援させていただいた事例をご紹介します。

【Uターン転職】年収が下がっても納得して転職できたAさん(30代・技術営業)のケース

東京の上場企業で、化学系の技術営業として活躍されていたAさん。お子様の進学を機に、ご家族の夢でもあった九州へのUターン転職を決意されました。

しかし、Aさんの専門はニッチな領域。「地元ではキャリアを諦めるしかないのでは」という大きな不安を抱えていらっしゃいました。
そこでAさんは活動開始にあたり、「年収よりも、Uターン転職と経験を活かすこと」を最優先の軸に設定されます。その後、希望地域で経験を活かせる企業と出会い、万全の準備で選考に臨み見事内定を獲得することができました。

年収は100万円程下がりましたが、軸が明確だったため判断に迷いはなく、「地元九州で生活する」というご家族との夢を叶えられました。

転職すべき?チェックリスト

転職すべきか迷ったときは、年収以外の観点からも現状を振り返ってみましょう。
ここでは、転職すべきかの判断を助けるチェックリストをご紹介します。
当てはまる項目が15個以上ある場合は、今の職場が自分に合っているかを改めて考えてみても良いかもしれません。

■仕事内容について
□ 今の仕事は「作業」だと感じることが多く、やりがいを感じない
□ 自分の仕事が、誰の役に立っているのか実感できない
□ 仕事の進め方について、自分の意見や裁量がほとんどないのが不満

■人間関係・カルチャーについて
□ なりたい先輩や、目標となる尊敬できる上司がいない
□ 安心して本音で相談できる同僚や上司がいない
□ 職場の雰囲気が悪く、誰かに気軽に雑談できる空気ではない
□ 会社の飲み会やイベントを「義務」だと感じ、本当は参加したくない

■成長・キャリアパスについて
□ この1年間で、新しいスキルや知識が身についた実感がない
□ このままで大丈夫だろうかと、自分の市場価値に漠然とした不安を感じる
□ 同じ職場で10年後、自分がイキイキと働いている姿が想像つかない
□ 社内に、自分が目指したいキャリアパス(異動や昇進)が存在しない

■評価・働き方について
□ 仕事の成果に対して、正当な評価やフィードバックを得られていないと感じる
□ 慢性的な長時間労働や休日出勤が当たり前になっている
□ 有給休暇を取得することに、罪悪感やうしろめたさを感じる
□ 月曜日の朝、出社するのが憂鬱だ
□ 休日でも仕事のことが頭から離れず、心から休んだ気になれない

■会社の将来性について
□ 会社の事業や、業界の将来性に明るい展望が見えない
□ 経営陣の意思決定や会社の方針に、共感や納得ができない
□ 会社の理念やビジョンに、心から共感しているとは言えない
□ 主力商品やサービスの質に、自信や誇りを持てない

<参考記事>
転職のベストタイミングは?時期・年代・業界・状況別に解説

【年代別】後悔しない転職のために重視したいポイント

後悔しない転職のためには、年収以外のポイントにも目を向けることが大切です。
年代によってキャリアの段階やライフプランは異なるので、重視すべきポイントも自然と変わってきます。
例えば、20代では将来への投資という視点が、30代ではライフプランと専門性のバランスが、40代以上では即戦力として培った経験をどう活かすかが重要になります。
ここでは、各年代ごとに、年収以外で特に重視したいポイントを詳しく見ていきましょう。

20代の転職で重視したいポイント:将来への投資と経験

20代は、キャリアの土台を築く大切な時期です。目先の年収だけでなく、「将来への投資」という視点を持ち、自己成長につながる経験を重視することがおすすめです。
柔軟性を活かして未経験の分野にも積極的に挑戦し、幅広い業界や職種でスキルや経験を積むことで、将来の選択肢が大きく広がります。
この時期に様々な経験をすることは、ご自身の市場価値を高めることにもつながります。

30代の転職で重視したいポイント:専門性とライフプランの両立

30代は、これまでの経験を活かしてキャリアの方向性を定め、専門性を深める時期です。同時に、結婚や子育てといったライフイベントを迎える方も多く、仕事と生活のバランスを考えることが重要になります。
マネジメント職を目指すなどキャリアアップを考えるのであれば、年収だけでなく、責任あるポジションを任せてもらえるか、必要なスキル(経営知識など)が身につくかといった点も重視しましょう。
安定したキャリア形成と、ご自身のライフプランを両立できる環境を見極めることが大切です。

<参考記事>
30代の転職は何を重要視するべき?求められるスキルや注意点を解説

40代以上の転職で重視したいポイント:経験の活用と貢献

40代以上では、これまで培ってきた専門性やマネジメント経験を、即戦力としてどう活かし、貢献できるかが最大のポイントです。
年齢による市場の厳しさも考慮しながら、ご自身の強みを明確にし、企業が抱える課題に対して具体的に貢献できるイメージを持つことが大切です。
長期的なキャリアプランと照らし合わせ、無理のない範囲で活動を進めましょう。

<参考記事>
転職の失敗談あるある7選!後悔しない転職の仕方とは?

転職にまつわる補助金と注意すべき税金のこと

年収が下がった場合に利用できる補助金制度や、見落としがちな税金について知っておくことも大切です。
ここでは、「就業促進定着手当」と「住民税」の2点について解説します。

「就業促進定着手当」

「就業促進定着手当」は、再就職後6ヶ月間の賃金日額が離職前より低下している場合に支給される補助金です。
対象となるのは、雇用保険の再就職手当を受給し、同一事業所で6ヶ月以上継続して勤務している方です。支給額は、離職前と再就職後の賃金日額の差額に勤務日数を掛けて算出され、年齢に応じた上限が設けられています。申請は一度限りで、転職後の収入減を補う生活支援制度として活用できます。
(※詳細な条件や申請方法、ご自身が対象となるかは、お近くのハローワークにご確認ください。)

翌年の住民税に注意

転職によって年収が下がった場合でも、翌年の住民税は前年の所得をもとに算出される点に注意が必要です。特に、賞与や残業代が多かった年の翌年は、税負担が重くなりがちです。
転職前の段階で住民税の支払いを見越し、あらかじめ貯蓄を確保しておく等の対策を忘れないようにしましょう。

転職エージェントが教える『年収交渉術』

転職活動において、年収交渉は希望の条件を実現するための重要なステップです。
しかし、「どのように交渉を進めれば良いのか分からない」「企業に直接希望を伝えるのは気が引ける」と感じる方も少なくないのではないでしょうか。
この章では、日々多くの転職者と企業の間で条件交渉に携わっている私たち転職エージェントの視点から、年収交渉を成功させるための具体的なポイントを解説していきます。

転職エージェントが教える『年収交渉術』No.56

希望年収の伝え方と注意点

希望年収を伝える際は、タイミングと根拠、そして伝え方が重要になります。
まずは基本的な注意点を確認しましょう。

<キャリアアドバイザーからのアドバイス>

応募時や初回のカジュアル面談など、選考の初期段階で希望年収を聞かれることも多いですが、その時点で遠慮して本来の希望より極端に低い額を伝えないように注意しましょう。企業はその情報を基にその後の選考や社内決裁を進めるため、後から希望を引き上げるのは非常に困難です。

ただし、ご自身の現年収やスキル、求人票の年収範囲などに見合わない高すぎる希望額をはじめから伝えると、企業側が「条件が合わない」と判断し、選考が進まない可能性もあります。

また、特に大手企業などでは、人事制度(等級など)によって年収がある程度決まっており、交渉の余地が少ないケースもあります。事前に企業の制度や求人票の年収レンジを確認し、現実的かつ根拠のある希望額を伝えることが大切です。

最終面接、内定前の交渉ポイント

選考が進み、最終面接や内定が見えてきた段階での交渉では、より具体的な根拠を示すことが鍵となります。

<キャリアアドバイザーからのアドバイス>

最終面接や内定前のタイミングで年収交渉を行う場合、併願している企業の提示額や、現職に残った場合の年収見込みなど、具体的な比較対象を示すことで、交渉がスムーズに進みやすくなります。

比較対象がない場合、単に「もう少し上げてほしい」と希望を伝えるだけでは、企業側が交渉に応じるメリットを感じにくく、交渉が難航するケースも少なくありません。

なぜその金額が妥当なのか、客観的な根拠を添えて伝えることを意識しましょう。

転職で年収を下げないためには、情報収集と交渉が大事

ここまで見てきたように、転職で年収を下げないためには、事前の情報収集と適切な交渉が欠かせません。
年収が下がる原因や一般的な許容範囲を理解した上で、ご自身の市場価値を把握し、希望年収を根拠をもって伝える準備をしておきましょう。準備不足が後悔につながることもあります。

もし、「自分一人で交渉するのは不安だ」「客観的な市場価値を知りたい」と感じる場合は、転職エージェントを頼るのも有効な手段です。
プロの視点を活用し、納得のいく転職を実現させましょう。

<参考記事>
転職エージェントは複数登録すべき?メリット・注意点・活用法を解説

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監修者
下﨑 和志 (しもざき かずし)

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リクルーティング・パートナーズ株式会社 人材エージェント事業部 マネジャー。事業会社人事を経て、結婚・第一子誕生を機に地元福岡へUターン転職。ハイキャリアから次世代リーダーまで幅広い層の転職を支援。【国家資格 キャリアコンサルタント】

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