更新日[ 2026/06/28 ]
経理の転職はなぜ難しい?経験別・年代別の対策と成功ポイント
「経理への転職はハードルが高い」「実務未経験や年齢がネックになるのでは」
転職を考えたとき、そんな不安を抱く方は少なくありません。
たしかに経理は専門知識や即戦力性が求められる職種ですが、年齢や経験に応じた正しい対策を知れば、理想の転職を叶えることは十分に可能です。
本記事では、経理の転職が難しいと言われる理由から、経験の有無・年代別に求められるスキルや成功のポイントまでをプロの視点で徹底解説します。後悔のない転職を実現するために、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 経理の転職が難しい4つの理由
- 未経験・経験者それぞれの注意点
- 年収アップのためのポイント
目次
- 転職市場における経理職のニーズと注目される背景
- 安定した需要と高い専門性
- 他職種からのキャリアチェンジで人気の理由
- 経理の転職が難しいと言われる4つの理由
- 管理部門特有の「採用枠の少なさ」
- 専門用語と企業独自ルールへの適応
- 細分化された即戦力要件
- AIやRPA導入による変化
- 未経験者が知っておくべき「現実」と成功へのステップ
- 経験者優遇の市場環境と年齢ハードル
- 資格取得で知識と意欲を証明する
- 「経理事務」や「アシスタント」から経験を積む
- ポテンシャル採用を行なっている中小企業・スタートアップを狙う
- 経験者が陥りがちな4つの不採用パターン
- 実務経験3年未満の壁
- 求められる専門領域とのズレ
- 年次決算「主担当」としての実績不足
- 上場・非上場の会計基準や開示業務のギャップ
- 【年代別】経理転職成功のポイントと企業からの評価軸
- 20代:将来性と学習意欲
- 30代:年次決算の自走能力と業務改善の実績
- 40代:マネジメント経験と高い専門性
- 入社後の後悔を防ぐ!事前の確認ポイント
- 定型業務の割合とバックオフィスに対する評価制度
- 繁忙期(決算など)や業務量の波
- 具体的な職務内容と裁量の範囲
- DX化の進み具合やITツール導入状況
- 経理職で年収アップの転職を実現させる3つの戦略
- 給与水準の高い業界に転職する
- システム導入や業務改善の実績をアピールする
- 管理職やCFO候補のポジションを狙う
- 経理転職で内定を勝ち取るための選考対策
- 【自己分析】応募企業のニーズに合わせて自身の「強み・軸」を明確にする
- 【職務経歴書】担当業務の範囲と実績を数値で具体化する
- 【面接】他部署や経営層とのコミュニケーション・調整力をアピールする
- 【プロの活用】経理に強い転職エージェントに相談する
- 【キャリアアドバイザーに聞く】経理転職の成功事例
- 経験不足を「高い学習意欲」でカバー。ポテンシャル採用で経理の正社員へ復帰したKさん(30代)
- 「リーダー適性」の言語化でマネジメントポジションの内定を獲得したSさん(40代)
- 【キャリアアドバイザーが解説】経理転職でよくある質問
- Q.経理職でステップアップする人は、どんな資格を取得していますか?
- Q.経理から経営企画やIRへのキャリアチェンジは可能ですか?
- Q.ベンチャーやIPO準備企業の経理のやりがいは?
- 理想の経理キャリアへの第一歩を踏み出そう
転職市場における経理職のニーズと注目される背景
転職市場において、経理職は常に高い注目を集めています。その背景を紐解くことで、経理特有の「転職難易度の高さ」や「企業から求められるスキル」が明確に見えてきます。
安定した需要と高い専門性
経理は業界や企業規模を問わず、組織のお金の流れを管理する不可欠なポジションです。そのため景気の波に左右されにくく、転職市場でも常に安定した求人数が確保されています。
また、会計基準や税務といった共通のルールに基づき業務を行うため、一度身につけた専門スキルは業界を越えて汎用的に活かせます。経験を重ねるほど専門性が高まり、長期的なキャリアを描きやすい点は、経理ならではの大きな強みです。
他職種からのキャリアチェンジで人気の理由
経理職は経験者のみならず、他職種からのキャリアチェンジ先としても人気です。背景には「どの企業でも通用する一生モノのスキルを身につけたい(手に職をつけたい)」という求職者のニーズがあります。
また、他職種に比べて出張や転勤が少なく、ワークライフバランスを保ちやすい点も大きな魅力です。年間のスケジュールが立てやすく残業もコントロールしやすいため、仕事とプライベートを両立しながら長く安定して働きたい方に選ばれています。
経理の転職が難しいと言われる4つの理由
安定した求人がある経理ですが、いざ転職活動を始めてみると「なかなか選考を通過できない」「思っていたよりもハードルが高い」と壁にぶつかる方は少なくありません。なぜ経理の転職は一筋縄ではいかないのでしょうか。ここでは、その背景に潜む4つの原因を詳しく見ていきます。

管理部門特有の「採用枠の少なさ」
経理職の転職活動において、まず直面するのが競争率の高さです。多くの企業では、経理を含む管理部門は少人数で運営されており、中には担当者が1名のみというケースも珍しくありません。
そのため、募集をかける際も「採用枠は1名」など、限られた数であることが大半です。数少ないポジションに対して多くの求職者から応募が集まることで、必然的に競争が激化し、転職の難易度が高くなる傾向にあります。
専門用語と企業独自ルールへの適応
経理業務には、会計基準や税務の深い知識、法改正へのキャッチアップが欠かせません。しかし転職市場では、普遍的な専門知識だけでなく「企業独自のルールへの適応力」も強く求められます。
企業にはそれぞれ独自の業務フローがあり、同じ経理でも製造業と金融業では商慣習が大きく異なります。自らの専門知識をベースにしつつ、新しい職場の仕組みに即座に適応し、実務に落とし込む柔軟性が求められる点も、転職のハードルを高くしている理由です。
細分化された即戦力要件
経験者採用の場合、企業が求める条件は非常にピンポイントです。単に経理部門に在籍していたという事実だけではなく、「日次から年次までの決算を主担当として自走できるか」「自社がまさに今求めている特定の業務経験と合致するか」といった点がシビアに評価されます。
例えば、これまでの経験が補助的な役割にとどまっていたり、応募先企業が求めるフェーズとズレがあったりすると、実務経験者であってもミスマッチと判断されやすくなります。自社のニーズに即座に応えられる即戦力性が厳しく問われることも、選考の壁を高くしています。
AIやRPA導入による変化
近年、経理の現場ではシステム化が急速に進み、伝票入力などの反復作業はAIやRPAへと置き換わりつつあります。
それに伴い、応募者には「正確な処理能力」だけでなく、「データを読み解き経営の意思決定に活かす提案力」など、一歩踏み込んだスキルが期待されるようになりました。業務フローの改善やデジタル化を推進できるITリテラシーも含め、新しい時代の役割に対応できる人材が求められていることも、内定獲得を難しくしている要因です。
未経験者が知っておくべき「現実」と成功へのステップ
まったくの未経験から経理という専門職へキャリアチェンジを目指す場合、乗り越えなければならない厳しい現実があるのは事実です。しかし、正しいステップを踏めば決して不可能ではありません。ここでは、未経験者が直面するハードルと、そこから活路を見出すための具体的なアプローチについて解説します。
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未経験での転職は何歳まで可能?35歳の壁の真相と年代別ポイント
経験者優遇の市場環境と年齢ハードル
経理の中途採用市場においては、どの企業も「即戦力」を求める傾向が強く、基本的には経験者が優遇される環境にあります。特に、慢性的な人手不足に悩む中小企業などでは、未経験者を一から育成するためのコストや時間をかけることが難しいケースも少なくありません。そのため、業務プロセスや決算をある程度一人で回せる経験者が優先的に採用されやすく、未経験者への門戸は決して広くありません。
さらに、未経験からの挑戦においては「年齢の壁」がリアルなタイムリミットとして立ちはだかります。多くの企業は未経験者を採用する際、「若さ=柔軟性や学習意欲の高さ」と捉え、ポテンシャルを評価する傾向にあります。そのため、ポテンシャル採用の対象となりやすいのは20代半ばから後半にかけての若年層が中心です。30代以降になると、前職での社会人経験をどのように経理業務へ結びつけられるかなど、さらに高いハードルが生じます。年齢が上がるにつれて職種未経験からのキャリアチェンジは難しくなっていくという事情を、まずは理解しておく必要があります。
資格取得で知識と意欲を証明する
未経験者が数少ない求人枠を勝ち取るために、欠かせないのが資格の取得です。企業側にとって、経験のない応募者に経理の適性や実務に耐えうる基礎知識があるかを見極めるのは難しいため、資格が客観的なスキル証明として大きな武器になります。
特に日商簿記2級は、多くの企業が「実務をスムーズに吸収するための土台(前提知識)がある」と判断する重要な指標としています。商業簿記だけでなく原価計算などの工業簿記の知識もアピールできるため、入社後の基礎的な対応力を示す確かな材料となるのです。
また未経験者の場合、資格取得に向けて地道に勉強を続けてきた事実そのものが、「経理職に対する本気度」や「自律的に学ぶ意欲」として、選考で高く評価されるでしょう。
「経理事務」や「アシスタント」から経験を積む
未経験からいきなり専門的な経理職としての採用を目指すのが難しい場合は、まず「経理事務」や「経理アシスタント」といったポジションからキャリアをスタートさせるのも有効な戦略の一つです。
これらのポジションは、仕訳データの入力、領収書や請求書の整理、経費精算のチェックなど、定型的な補助業務が中心です。決算業務などの高度な専門知識がなくても対応しやすいため、未経験者向けの求人が多く存在します。まずはアシスタントとして現場に入り、実際の業務フローやお金の動きに慣れながら経験を積み、本格的な経理職へステップアップを目指すというアプローチです。
ポテンシャル採用を行なっている中小企業・スタートアップを狙う
大手企業ではなく、中小企業やスタートアップ、ベンチャー企業をあえて狙う方法もあります。成長フェーズにある企業や小規模な組織の中には、経理経験者が不足している代わりに、人材を一から育てていく意欲を持ち、ポテンシャルや人柄を重視して未経験者を採用するケースが存在します。
売り上げ規模が比較的小さいため、限定的な業務から経理の全体像を把握しやすく、基本を学ぶには適した環境です。ただし、大手企業のように手厚い人材育成プログラムや研修制度が整っていないことも少なくありません。手取り足取り教えてもらうのを待つのではなく、働きながら上位資格の勉強を進めるなど、自律的に知識を吸収してスキルアップを図る主体的な心構えが強く求められます。
経験者が陥りがちな4つの不採用パターン
経理の実務経験があれば、転職活動もスムーズに進むだろうと考える方は多いかもしれません。しかし、経験者だからこそシビアに評価されるポイントがあり、思わぬ理由で選考を見送られてしまうケースも存在します。ここでは、実務経験者が陥りやすい4つの盲点について解説します。
実務経験3年未満の壁
転職市場において、一人前の経理経験者として評価される一般的な目安は「実務経験3年以上」です。経理の業務には、年度末の決算や税務申告といった特定の時期にしか発生しない重要な業務があります。1年を通じた業務サイクルを少なくとも3回程度経験することで、知識が定着し実務スキルが磨かれると考えられているためです。経験年数が3年に満たない場合、こうした主要な業務に深く携わった実績が不足しているとみなされやすく、即戦力を求める企業からの信頼を得にくいという壁に直面することがあります。
求められる専門領域とのズレ
一口に経理と言っても、財務会計や管理会計、税務、あるいは予算管理など、その役割は多岐にわたります。応募先の企業がまさに今、組織体制の強化のために補強したい特定の専門分野と、自身のこれまでのキャリアで培ってきた強みが合致していない場合、どれほど優れたスキルを持っていてもミスマッチと判断されてしまいます。企業が求めている専門性と自身の経験領域にズレがないかを見極め、強みを正しく活かせるポジションを選ぶことが重要です。
年次決算「主担当」としての実績不足
経験者の選考において、企業が最も注目するポイントの一つが決算業務の実績です。しかし、ここで注意しなければならないのは、単に決算の補助や手伝いとして関わっていただけでは、即戦力としての評価は伸び悩むという現実です。企業側は、自らスケジュールを管理し、関係部署と調整を行いながら、財務諸表の作成や監査対応までを「主担当として完遂した経験」があるかを確認しています。責任を持って決算業務を完結させた実績がないと、他の候補者と比較された際に不利になる傾向があります。
上場・非上場の会計基準や開示業務のギャップ
非上場企業から上場企業、あるいは大手企業へのステップアップを目指す場合、会計基準や開示業務に関する大きなギャップが選考のハードルとなります。上場企業の経理部門では、決算短信や有価証券報告書の作成といった特有の厳格な開示業務に加え、複雑な財務報告や内部統制への対応が求められます。特に30代以降の転職においては、こうした上場企業ならではの高度なルールの理解や開示業務の経験がないと、適応に時間がかかると懸念され、転職が難航する要因となります。
【年代別】経理転職成功のポイントと企業からの評価軸
経理の転職市場において、企業が応募者に期待する役割やスキルは、年齢層によって大きく変わってきます。ここでは20代から40代まで、それぞれの年代でアピールすべき強みと、企業が注目する評価のポイントについて解説します。
20代:将来性と学習意欲
20代はキャリアの初期段階であり、実務経験が浅くてもポテンシャル採用が行われやすい、最も有利な年代です。企業は、若さゆえの吸収力の高さや、新しい知識・企業文化に柔軟に馴染める適応力に期待を寄せています。
経験不足を補うためには、日商簿記2級などの資格を取得し、基礎知識と自律的な学習意欲を客観的に証明することが大切です。また、これからの経理に求められるITリテラシーの高さや、経理ソフトへの抵抗感のなさも強みになります。「なぜ経理としてキャリアを築きたいのか」という熱意と、コツコツと学び続ける姿勢をしっかりと伝えることが成功の鍵です。
30代:年次決算の自走能力と業務改善の実績
30代になるとポテンシャル採用の枠は減少し、企業からは即戦力としての働きが明確に求められるようになります。月次決算だけでなく、年次決算や税務申告といった多岐にわたる実務を「主担当として自走できるか」がシビアに評価されます。
さらに、単に決められた業務をこなすだけでなく、新しい会計システムの導入や、既存の業務フローを見直して効率化を図った経験など「業務改善の実績」も重視されます。これは、環境の変化に対応できる柔軟性や、将来のリーダー候補として周囲の部署と連携しながらプロジェクトを推進できる能力があるかを見極めるためです。これまでの経験を棚卸しし、企業が求めるニーズに合わせて自身の対応力や課題解決力をアピールすることがポイントです。
40代:マネジメント経験と高い専門性
40代の経理転職では、豊富な実務経験があることは前提として、マネジメントの経験や視点を持っているかが非常に重視されます。決算業務を安定的に統括できる能力に加えて、チームをまとめた実績、後輩育成の経験、あるいは組織全体の業務品質管理などが評価の軸となります。
もし直接的な管理職の経験がない場合でも、プロジェクトを牽引したリーダーシップや、経営層に対して数値をもとにした戦略的な提案を行える「高い専門性と経営視点」が不可欠です。企業は「経理部門の中核として組織に価値をもたらす存在か」を判断するため、過去の実績を具体的なエピソードとして語れるように準備しておく必要があります。
入社後の後悔を防ぐ!事前の確認ポイント
念願の経理職に就けたとしても、働き始めてから「思い描いていた環境と違う」とギャップを感じてしまうケースは少なくありません。長く活躍し続けるためには、応募先企業の実態を事前によく見極めることが大切です。入社後のミスマッチを防ぎ、納得のいく転職を叶えるために、選考段階で必ず確認しておきたいポイントを解説します。
定型業務の割合とバックオフィスに対する評価制度
経理は、日々の取引記録や決算対応といった反復性の高い定型業務が多くを占める職種です。正確さやスピードが求められる一方で、仕事に新しい発想や創造性を求める方にとっては、やや物足りなさを感じてしまう場合があります。
また、営業などの直接利益を生み出す部門を裏から支える役割であるため、売上高のような分かりやすい数値で評価されにくいという側面もあります。「入社後に正当な評価が得られずモチベーションが下がってしまった」というギャップを防ぐためにも、面接の段階で企業の人事評価制度がどのように機能しているのかを確認しておくことが重要です。
繁忙期(決算など)や業務量の波
経理部門は1年を通じた業務のスケジュールが決まっている一方で、月末や四半期末、年度末などの決算期には業務量が急激に増加し、残業が多くなる傾向にあります。こうした繁忙期にはどうしても休暇が取得しづらくなり、自身のライフスタイルとの間にズレが生じてしまう可能性があります。
入社後に働き方の面で後悔しないためには、事前にその企業の年間スケジュールや繁忙期の実態を把握することが欠かせません。業務の波がどの時期に訪れるのか、現在の人員体制で無理なく回せる方針となっているのかを面接等で確認し、自身の希望する働き方と合致するかを冷静にすり合わせておきましょう。
具体的な職務内容と裁量の範囲
経理が担当する業務範囲は、企業の規模や体制によって大きく異なります。例えば、経営分析や予実管理といった上流工程へのステップアップを希望して入社したにもかかわらず、実際には定型的な決算処理のみを任されるといったミスマッチが起こるケースがあります。
反対に、上司や経営陣に経理の経験・専門知識がない環境では、想定以上に広範囲の判断や外部折衝を求められ、結果として過重労働に陥ってしまうリスクも考えられます。こうした事態を避けるためには、選考のプロセスを通じて、自身が担当する具体的な職務内容や裁量の範囲、企業側が期待している役割を細かく確認し、お互いの認識をすり合わせておくことが大切です。
DX化の進み具合やITツール導入状況
近年は経理部門のDXが推進されていますが、その進み具合は企業によってまちまちです。クラウド会計システムや自動化ツールが導入され効率化が進んでいる職場がある一方で、未だに紙ベースの処理や手作業によるアナログな業務が多く残っている企業も少なくありません。
「新しい環境でこれまでのスキルを活かすつもりが、想定以上の手作業に戸惑い、非効率な業務にストレスを感じてしまう」というケースもあります。入社後のギャップをなくすためには、応募先の企業がどのような会計ソフトやITツールを導入しているのか、業務の効率化がどの程度進んでいるのかを事前にしっかりと確認しておくことが不可欠です。
経理職で年収アップの転職を実現させる3つの戦略
経理としてキャリアを重ねる中で、「専門性を活かして待遇を向上させたい」と考えるのは自然なことです。専門職だからこそ、市場の動向を捉えた戦略的な選択によって、着実な年収アップを実現できます。
<参考記事>
転職で年収アップは可能?相場と成功させるコツをプロが解説
給与水準の高い業界に転職する
経理職の報酬水準は、業界全体の収益性や市場規模に大きく影響されます。同じ業務内容でも、利益率が高く給与水準そのものが高い業界を選ぶことで、年収の大幅な底上げが可能です。
ターゲットとなるのは、金融、商社、IT、コンサルティングといった高収益な領域です。また、国際会計基準(IFRS)を導入している企業や、英文財務資料の作成・海外拠点とのやり取りが発生する外資系企業を狙うのも効果的です。語学力や国際基準の知識は報酬に直結しやすいため、自身の市場価値を高く評価してくれる環境を選ぶことが戦略の第一歩です。
システム導入や業務改善の実績をアピールする
近年の企業経営においてバックオフィスの生産性向上は重要な課題であり、経理部門でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が強く求められています。
そのため、ERPシステムの刷新やクラウド会計ソフトの導入、業務フローの再設計を主導した経験は、転職市場で非常に高く評価されます。現状の課題を整理し、他部門を巻き込んで仕組みを定着させてきた「変革の実績」を具体的に提示しましょう。全社的な業務効率化に貢献できる人材として自身をアピールすることが、好条件を引き出すカギとなります。
管理職やCFO候補のポジションを狙う
現職で上位ポストが詰まっており、当面の昇給・昇格が見込めない場合は、転職を通じてより上位の役職や責任あるポジションを掴み取るアプローチが有効です。
経理課長や経理部長、あるいは将来の経営の中枢を担うCFO候補に就くことで、役割に応じたハイクラスの報酬を得られます。選考では、決算実務の遂行能力だけでなく、予算管理、資金調達、経営陣への財務報告といった「経営判断に直結する実績」や、チームのマネジメント能力を明確に示す必要があります。組織の意思決定を支える価値をアピールすることで、大幅な待遇アップが実現します。
経理転職で内定を勝ち取るための選考対策
経理の転職では、豊富な経験や専門スキルがあってもスムーズに内定を獲得できるとは限りません。難易度の高い選考を突破し、希望する企業とのマッチングを果たすには、これまでのキャリアをどうアピールし、どう準備を進めるかが非常に重要です。ここでは、内定を勝ち取るための実践的な選考対策を解説します。

【自己分析】応募企業のニーズに合わせて自身の「強み・軸」を明確にする
選考に向けた最初のステップは、キャリアの棚卸し(自己分析)を徹底し、自身の「強み」を客観的に把握することです。これまでに経験した決算業務の実績やマネジメント経験など、どのような業務に携わってきたのかを詳細に整理します。
その上で、応募先企業が求めている人材像を求人票や企業情報から読み解きます。企業が抱える課題やニーズを正確に理解し、自身の強みと合致する部分を見つけ出しましょう。企業の求める人物像に合わせて「どう貢献できるか」というアピールの軸を明確にすることが、選考全体の一貫性を保つ鍵となります。
<参考記事>
転職時の自己分析のやり方は?自己分析シートの活用方法を解説
【職務経歴書】担当業務の範囲と実績を数値で具体化する
職務経歴書を作成する際、単に「決算業務に従事した」と記載するだけでは、本当のスキルレベルは伝わりません。日次・月次処理はもちろん、年次決算において具体的にどの工程を担当したのか、補助的な役割だったのか、責任を持って完結させた主担当だったのかを明確に記載する必要があります。
さらに、システム導入や業務フロー改善の経験があれば、「どのような課題に対し、どう工夫し、結果としてどれだけの効率化を実現したか」を数値で具体化することがポイントです。いかに数字を意識し、正確性や生産性の向上に努めてきたかを示すエピソードを盛り込むことで、職務経歴書の説得力は格段に上がります。
<参考記事>
【テンプレートと例文付き】経理の職務経歴書の書き方を解説
【面接】他部署や経営層とのコミュニケーション・調整力をアピールする
経理は黙々と数字を扱うイメージを持たれがちですが、実際には社内外との関わりが非常に多い職種です。他部署からの書類回収や問い合わせ対応、経営陣への財務報告、外部関係者への説明など、周囲の協力を得ながら業務を進める場面が多々あります。
そのため面接では、実務スキルだけでなく、他部署や関係者と円滑に連携できるコミュニケーション能力や調整力が厳しく見られます。例えば、「情報が集まりにくい状況でどう働きかけたか」「意見が対立した際にどう整理したか」といった具体的な経験を交え、自発的に動ける積極性や協調性をアピールすることが、採用担当者の安心感に繋がります。
<参考記事>
【中途採用の面接対策】面接で聞かれる定番質問と回答例を徹底解説
【プロの活用】経理に強い転職エージェントに相談する
競争が激しく要件も細かい経理の転職活動を有利に進めるには、転職エージェントなどプロの力を借りることも非常に有効な手段です。エージェントを活用することで、一般には公開されていない質の高い非公開求人へアクセスできます。
また、応募書類の添削や面接対策のサポートを受け、自身の強みを魅力的に伝える方法を客観的な視点でブラッシュアップできます。さらに、求人企業ごとの詳細なニーズや職場の雰囲気といった情報も事前に把握できるため、選考通過率を高めつつ入社後のミスマッチを防ぐことが可能です。面接日程の調整等も代行してもらえるため、在職中で多忙な方にとっても効率的に活動を進められるメリットがあります。
【キャリアアドバイザーに聞く】経理転職の成功事例
経理の転職はハードルが高いと感じるかもしれませんが、自身の状況に合ったアピール方法を見つけることで、理想の転職を叶えた方はたくさんいらっしゃいます。ここでは、私たちリクパーキャリアにご相談いただき、見事内定を勝ち取った方々の実際の成功事例をご紹介します。
経験不足を「高い学習意欲」でカバー。ポテンシャル採用で経理の正社員へ復帰したKさん(30代)
前職では総務が中心で、経理は伝票整理などの補助業務のみ。そこから3年間のブランクがあり、「深い実務経験がない自分でも正社員に戻れるのか」と、強く不安を抱えてご相談に来られたKさんの事例です。
30代で「経験が浅い+ブランクあり」という状況は、確かに書類選考のハードルが上がります。しかし、Kさんには大きな武器がありました。それは、ブランク期間中も独学で日商簿記2級の勉強を続けていた「高い学習意欲」です。 面接対策では、経験不足を無理にごまかすのではなく、「自律的に学ぶ姿勢」と「前職で培った正確な事務処理能力」を前面に押し出すようアドバイスしました。また、想定問答の丸暗記をやめ、「この会社で誠実に、コツコツと貢献したい」という真摯な思いをご自身の言葉で伝えていただきました。
結果として、地元企業から「素直な人柄と学習意欲の高さ」が決め手として評価され、見事、経理の正社員として内定を獲得されました。実務経験が浅くても、資格の勉強などで意欲を客観的に証明できれば、企業の評価を大きく覆しポテンシャル採用を勝ち取れるという好例です。
「リーダー適性」の言語化でマネジメントポジションの内定を獲得したSさん(40代)
裁量のある環境と将来的な年収アップを見据えて、転職のご相談に来られたSさんの事例です。
Sさんは、年次決算を主導できる実務スキルに加え、自ら起案したシステム導入や、経営層への財務報告など、非常に質の高い経理経験をお持ちでした。
最初の応募先では順調に選考が進みましたが、最終段階で「実務経験は申し分ないが、リーダーとしての適性が不十分」という理由から、惜しくもお見送りとなってしまいます。40代以上の経理職には、個人の実務処理能力だけでなく、管理職としての振る舞いや「周囲を巻き込む力」がシビアに見られるという、経験者ならではの壁にぶつかった瞬間でした。一度はショックを受けたSさんでしたが、この経験を糧に、次の選考に向けて面接でのアピール方法を一緒に徹底的に見直しました。 着目したのは、Sさんの「システム導入」の実績です。以前は「システムを導入し工数を削減した」という個人の成果として語っていましたが、よくよくお話を伺うと、実際には「新しいルールに難色を示す営業部門に何度も足を運び、不満をヒアリングしながら粘り強く説得して運用を定着させた」という、非常に泥臭い社内調整を行っていたことが分かりました。
そこで、このエピソードを単なる業務実績ではなく、「他部署を巻き込み、プロジェクトを牽引したリーダーシップの根拠」として堂々と語れるように言語化し直したのです。結果として、次の企業の面接では「社内調整力が高く、周りを引っ張っていける人材」と一次選考の段階から高く評価され、見事マネージャー候補として内定を獲得。ご自身の経験を「リーダー適性」という企業の求める言葉に変換し、裁量あるポジションと年収アップを叶えられた事例です。
【キャリアアドバイザーが解説】経理転職でよくある質問
経理の転職に向けて準備を進める中で、ご自身の今後のキャリアパスやプラスアルファで求められるスキルについて、まだまだ疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。ここでは、転職支援の現場で実際に求職者の方からよく寄せられる質問について、プロのキャリアアドバイザーがお答えします。
Q.経理職でステップアップする人は、どんな資格を取得していますか?
A. 日商簿記1級や税理士の科目合格のほか、目指す業界によっては「英語力」も大きな武器になります。
経理としてさらに専門性を高めるために、日商簿記1級や税理士の科目試験(全科目でなくても可)、あるいはUSCPA(米国公認会計士)などを取得される方は多いですね。また、メーカーや商社などグローバルに展開している企業を目指す場合、TOEICのスコアやIFRS(国際会計基準)の知識が求められるケースが多々あります。「経理の専門知識+英語力」の掛け合わせは、ハイクラス転職において非常に強力なアピール材料になりますよ。
Q.経理から経営企画やIRへのキャリアチェンジは可能ですか?
A. もちろん可能です。むしろ、経理から経営企画へのステップアップは「王道のキャリアパス」と言えます。
経理実務で培った「数字を正確に読む力」や「財務諸表の理解」は、経営企画やIR部門でもそのまま活かせる必須スキルです。そこからさらにステップアップを狙うには、単なる実績の集計だけでなく、これまでの業務の中で「予実管理」や「KPIの設計・分析」の経験がカギとなります。また、経営会議用の資料作成や、社内外に向けたプレゼンテーション能力も求められるため、今の業務の中でそうした「経営層に近い視点」を意識して経験を積んでおくのがおすすめです。
Q.ベンチャーやIPO準備企業の経理のやりがいは?
A. ゼロから仕組みを作り上げる面白さと、キャリアの選択肢を大きく広げられる点にあります。
ベンチャー企業はまだ体制が整っていないことが多く、決算のルール決めから現場への運用定着まで、自分たちで経理部門を立ち上げるような経験ができるケースもあります。また、監査法人や証券会社との折衝、内部統制の構築といった「IPO準備」は、経理担当者にとって非常に貴重な経験です。無事にIPOを成し遂げた実績は転職市場でも高く評価されるため、将来的により裁量の大きなポジションを目指しやすくなるなど、ご自身のキャリアの選択肢を大きく広げていけるのも魅力の一つです。
理想の経理キャリアへの第一歩を踏み出そう
経理の転職は、採用枠の少なさや求められる即戦力要件の高さから、難易度が高い側面があるのは事実です。しかし、経験の有無や年代に合わせた的確な対策を講じることで、確実に成功へと近づけることができます。
とはいえ、数ある求人の中から自身の強みを活かせるポジションを正確に見極め、入社後のミスマッチを防ぐには、自己流の転職活動だけではどうしても限界があります。
九州・沖縄エリアの転職事情を熟知した「リクパーキャリア」では、経理をはじめとする管理部門の転職に精通したコンサルタントが、あなたのスキルや経験に最適なキャリアプランをご提案します。理想の経理キャリアを実現するための伴走者として、ぜひお気軽にご相談ください。
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- 監修者
- 髙野 智愛 (たかの ちより)
キャリアアドバイザー【国家資格 キャリアコンサルタント】
海外大学卒業後、大手製造小売企業に新卒入社。同人事部において年間400名を超える国内外の採用業務に従事。 その後、結婚・第2子出産を機に転職し、誰かのターニングポイントに関わりつつ、地元九州へ恩返しをしたいという想いからキャリアアドバイザーへ転身。 若手層を中心に、いち社会人として、時には女性として、母としてなど様々な視点から転職支援を行っています。
【国家資格 キャリアコンサルタント】