更新日[ 2026/10/30 ]
給料が安いのは自分のせい?平均基準と改善ステップ
「毎日頑張って働いているのに、なんだか給料が安い気がする…」「ホワイトな職場だけど、この給料で将来やっていけるのだろうか?」
物価上昇が続く中、日々の生活や将来のキャリアに対してこのような不安を抱くのは当然のことです。周りの友人と比べて落ち込んでしまったり、自分のスキル不足を責めてしまったりする方も多いかもしれません。
しかし、給料が安い原因は必ずしも「あなた自身のせい」ではなく、属している業界の構造や会社の評価制度に隠れているケースが多々あります。
本記事では、数多くの転職支援を行ってきたプロの視点から、年代別の平均年収といった「客観的な基準」から、給料が上がらない理由、そして現状を打破するための具体的な解決策までを丁寧に解説します。
一時の不安に流されず、あなたが心から納得できるキャリアを描くための第一歩を、ここから一緒に見つけていきましょう。
この記事でわかること
- 年代・業界別の客観的な平均年収と基準
- 給料が上がらない根本的な原因とリスク
- 年収アップを実現する5つの具体策と実例
目次
- 自分の給料は客観的に見て安い?まずは「平均値」と比較しよう
- まずは「時給換算」で現状把握。最低賃金を下回っていないか確認する
- 【年代・男女別】自分の給料は本当に安い?データで見る平均年収のリアル
- 【業界・業種別】利益率で差が出る!業界ごとの平均年収基準
- 【雇用形態・学歴・地域別】その他の賃金格差の現状
- なぜ給料が安いままなのか?よくある原因と構造的な問題
- 利益が出にくい「業界自体の収益構造」
- みなし残業やサービス残業による「実質的な時給の低さ」
- 成果が給与に反映されない「年功序列の評価制度」
- 居心地は良いが昇給しない「ゆるブラックな職場環境」
- 給料が安くても「プレッシャーが少なく居心地の良い環境」に留まるべき?
- メリット:ワークライフバランスが保てて働きやすい
- デメリット:スキルが身につかず将来の生活やキャリアの選択肢が狭まる
- 注意点:高い給料の裏にある「理由(責任や業務量)」も理解しておく
- 「給料が安い」現状を打破!プロが教える年収アップを実現する5つの戦略
- 1. 現在の生活費(固定費)を見直し、必要な手取りを計算する
- 2. 今の会社で成果を出し、給与アップの交渉を行う
- 3. 会社の就業規則を確認して副業を始める
- 4. 資格取得やポータブルスキルを身につけて市場価値を高める
- 5. 給与水準の高い業界や評価制度の整った企業へ転職する
- 【実例紹介】「市場価値」の再発見で待遇改善を叶えた転職ストーリー
- 自身の適正な市場価値を知り、地方移住と年収150万円アップを叶えたKさん(30代前半)
- 評価制度の整った業界へ転身し、将来の生活の安定を手に入れたSさん(20代後半)
- 転職で失敗しないために!面接や求人票で確認すべきポイント
- 基本給と固定残業代などの「給与の内訳」を正確に把握する
- 将来の昇給見込み・評価制度・事業の安定性を確認する
- 【FAQ】給料が安いことに関するよくある質問
- Q. 給料が低いのは自分のスキル不足(自分のせい)なのでしょうか?
- Q. 給料が安いのに仕事量が多く、求められるレベルが高すぎると感じます。どう対処すべきですか?
- Q. 職場の人間関係は良くホワイトですが、給料が低いです。転職すべきでしょうか?
- Q. 給料が低すぎて生活がカツカツです。すぐに手取りを増やす方法はありますか?
- 給料の悩みを一人で抱え込まない!本当の適正年収を知るならプロに相談しよう
自分の給料は客観的に見て安い?まずは「平均値」と比較しよう
「同世代と比べて、私の給料は低いのかな…」と不安になったときは、まず世間一般の水準を知ることが大切です。ここでは、公的なデータをもとに、年代や業界ごとの平均的な給与事情を客観的に見ていきましょう。
まずは「時給換算」で現状把握。最低賃金を下回っていないか確認する
給料が適正かどうかを判断する最初のステップとして、現在の給与を時給に換算してみる方法があります。月給制で働いていると日々の労働時間に対する対価が見えにくくなりますが、時給換算することで、お住まいの都道府県が定める最低賃金を下回っていないかを正確に確認できるからです。
計算方法は非常にシンプルで、基本給などの1ヶ月の給与を、1ヶ月の平均所定労働時間で割るだけで算出できます。たとえば令和8年度の東京都の最低賃金は1,280円に引き上げられていますが、もし計算した結果が各自治体の最低賃金ギリギリであったり、下回っていたりする場合は、給与水準が低い状態であると考えられます。まずはご自身の労働時間と収入のバランスを数字で可視化し、現状を冷静に把握することから始めてみましょう。
【年代・男女別】自分の給料は本当に安い?データで見る平均年収のリアル
現状の時給が把握できたら、次は同世代の平均年収と比較してみましょう。国税庁の「令和7年分 民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者全体の平均給与は約487万円となっています。男女別で見ると、男性の平均が約597万円、女性の平均が約342万円という結果が出ています。年代が上がるにつれて給与の平均値は上昇していく傾向にあり、30代になると全体的に400万円台後半から500万円台へと乗ってくる方が増え始めます。
また、厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の平均賃金(月額)は男女計で約34万600円(男性約37万3,400円、女性約28万5,900円)となっており、これがひとつの大きな目安となります。ご自身の性別や年齢と照らし合わせて、現在の年収が平均からどの程度離れているのかを確認してみてください。
出典:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」/厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
【業界・業種別】利益率で差が出る!業界ごとの平均年収基準
給料の額は、個人の能力や年齢だけでなく、働いている業界・業種によっても大きな格差が生じます。同じように努力していても、業界自体の収益構造によって還元される給与には限界があるからです。
国税庁の「令和7年分 民間給与実態統計調査」によると、最も平均年収が高い傾向にあるのは電気・ガスなどのインフラ関連業種(約854万円)であり、次いで金融・保険業(約725万円)、情報通信業(約681万円)が高い水準に達しています。これに対して、宿泊・飲食サービス業(約275万円)や各種サービス業(約401万円)は低く出る傾向にあり、上位の業界と比較すると2倍以上の大きな開きがあることがわかります。
もしご自身の給料が同業他社と比べて平均的であったとしても、他業界と比較して低いと感じる場合は、業界そのものの給与水準が影響していると考えられます。
出典:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査 」第8表 業種別及び給与階級別の総括表
【雇用形態・学歴・地域別】その他の賃金格差の現状
年代や業界以外にも、給料を左右する要因はいくつか存在します。たとえば雇用形態による違いとして、正規雇用と非正規雇用の間には明確な賃金格差があります。国税庁の最新データによれば、正社員の平均年収(約559万円)に対して、正社員以外の平均年収(約210万円)とでは、年間で349万円もの大きな開きが生じているのが現状です。
また、学歴による差も依然として存在しており、大学・大学院卒と高校卒とでは、年齢が上がるにつれて賃金の開きが大きくなる傾向にあります。さらに、最低賃金が高い都市部と、地方都市とでは基準となる金額に差があるため、働く地域によっても給与相場は変動します。
このように、給料は様々な要因が複雑に絡み合って決まります。平均値はあくまでひとつの目安ですが、ご自身の置かれている状況を客観的に見つめ直すための重要な材料となるでしょう。
出典:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」/厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金の全国一覧」
なぜ給料が安いままなのか?よくある原因と構造的な問題
一生懸命働いているのに給料が上がらない場合、その背景にはさまざまな要因が隠れています。ここでは、給与が低いままになりやすい代表的な原因を順番に整理していきましょう。

利益が出にくい「業界自体の収益構造」
会社から支払われる給料の原資は、事業で生み出した利益です。そのため、業界全体として利益が出にくいビジネスモデルの場合、どれだけ個人が優秀で成果を出したとしても、会社が従業員に還元できる金額にはどうしても上限が生じてしまいます。
労働集約型のサービス業などでよく見られるケースですが、ご自身のスキルや努力が不足しているわけではなく、属している業界の収益構造そのものが給与の上がりにくさに直結していることは少なくありません。
みなし残業やサービス残業による「実質的な時給の低さ」
毎月振り込まれる額面上の給料はそれなりにあっても、労働時間と見合っていないケースも考えられます。たとえば、毎月数十時間分の残業代があらかじめ固定で給与に含まれている「みなし残業(固定残業代)」の制度を取り入れている企業において、規定の時間を超えて働いても追加の残業代が正当に支払われず、サービス残業が常態化しているような職場です。
この状態に陥ると、働けば働くほど実質的な時給が下がり続け、肉体的な疲労ばかりが蓄積して「給料が安すぎる」と感じる大きな原因となります。
成果が給与に反映されない「年功序列の評価制度」
「自分より仕事をしていないベテラン社員の方が給料が高い」と不満を抱えている場合、会社の評価制度に原因があるかもしれません。昔ながらの年功序列の仕組みが色濃く残っている企業では、若手のうちにどれだけ実績を上げても、年齢や勤続年数という壁に阻まれてスムーズな昇給が見込めないからです。
また、評価基準自体が曖昧で上司の感覚で決まってしまうような職場では、昇給の条件が不明確なまま、モチベーションを保てずに低い給与のまま働き続けるリスクがあります。
居心地は良いが昇給しない「ゆるブラックな職場環境」
残業がほとんどなく、人間関係も穏やかで居心地は良いものの、仕事のやりがいや給料のアップが全く見込めない職場環境は、近年「ゆるブラック企業」と呼ばれ注意喚起されています。
一見すると働きやすいホワイト企業のように思えますが、単調な定型業務ばかりで成長機会が乏しく、いざ将来を見据えて転職しようとしたときに、自分自身の市場価値がまったく上がっていないという深刻なキャリアリスクが潜んでいます。
「仕事は楽だけど、ずっと給料が安いままなのは不安…」と感じる方は、以下の記事でゆるブラック企業の特徴やリスクについて詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
<参考記事>
ゆるブラック企業とは?特徴・リスクと「診断チェックリスト」
給料が安くても「プレッシャーが少なく居心地の良い環境」に留まるべき?
今の職場が「給料は低いけれど人間関係も良くて働きやすい」という場合、このまま留まるべきか、思い切って環境を変えるべきか迷う方も多いでしょう。ここでは、プレッシャーの少ない環境で働き続けることの短期的なメリットと、長期的な視点でのデメリットを比較しながら、今後のキャリアの考え方を整理していきます。
メリット:ワークライフバランスが保てて働きやすい
給料が安くても居心地が良い職場の最大のメリットは、心身の健康を保ちながらプライベートの時間をしっかり確保できる点にあります。残業や休日出勤が少なく、過度なノルマや人間関係のストレスもない環境であれば、仕事終わりの時間や週末を趣味や家族との時間、あるいは休息に全振りできるでしょう。
短期的な視点で見れば、仕事に対する過度なプレッシャーを感じることなく、安定した穏やかな日々を送れることは非常に大きな魅力と言えます。
デメリット:スキルが身につかず将来の生活やキャリアの選択肢が狭まる
一方で、長期的な視点に立つと深刻なデメリットが浮かび上がってきます。まず生活面において、給料が低いままだと日々の生活費で手一杯となり、結婚や子育て、将来に向けた十分な貯金や備えが難しくなるリスクも考えられます。
さらにキャリアの面でも、変化のない定型業務ばかりで新しい知識や専門性が身につかない環境に長く居続けると、社会における自分自身の「市場価値」が相対的に低下してしまいます。いざ将来的に「やっぱり給料を上げたい」「別の会社に移りたい」と思っても、年齢に見合ったスキルがないと判断され、転職という選択肢自体が著しく狭まってしまう危険性が潜んでいるのです。
注意点:高い給料の裏にある「理由(責任や業務量)」も理解しておく
デメリットを理解して「やはり収入を上げたい」と考えた際、気をつけておきたいポイントがあります。それは「とにかく給料が高いところへ」と安易に飛びつく前に、高い給与には必ずそれなりの「理由」が存在すると理解しておくことです。
給料が高い仕事の裏には、重い責任や厳しいノルマ、長時間の残業、あるいは全国転勤の義務や高度な専門スキルの要求などが伴うことが一般的です。今の働きやすい環境を手放してまで、そうしたハードな業務量やプレッシャーに耐えられるのか、まずは冷静に考えてみましょう。その上で、ご自身がこれからの人生で「仕事に何を一番求めているのか」を、行動を起こす前にしっかりと見極めることが重要です。
<参考記事>
転職しない方がいいケースは?後悔しない判断基準と年代別解説
「給料が安い」現状を打破!プロが教える年収アップを実現する5つの戦略
「将来のために収入を増やしたい」と決意を固めたなら、いよいよ現状を変えるための行動を起こすタイミングです。焦って無計画な転職に踏み切る前に、まずは今の環境で着実に年収アップを目指す「5つの実践的なアクションプラン」を確認していきましょう。

1. 現在の生活費(固定費)を見直し、必要な手取りを計算する
真っ先に取り組むべきは、転職などの大きな行動に焦って飛びつく前に「なぜ今の給料に不満を感じているのか」を冷静に整理することです。
まずは毎月の家賃、光熱費、通信費やサブスクリプションなどの固定費を見直し、生活に最低限必要な支出を正確に把握しましょう。その上で、将来のライフイベント(結婚、子育て、老後の備えなど)にかかる費用をシミュレーションし、「最低でも毎月いくらの手取りが必要なのか」を具体的な数字に落とし込みます。目標金額がクリアになれば漠然としたお金への不安が解消され、次にとるべき具体的な手段が見えてきます。
2. 今の会社で成果を出し、給与アップの交渉を行う
転職というリスクを負わずに収入を増やす正攻法が、現在の職場で直接昇給を目指すアプローチです。
ただし、ただ感情的に「給料を上げてほしい」と要求するだけでは上司や会社を納得させることはできません。交渉の場では、これまでに自分が会社へもたらした売上増加やコスト削減、業務効率化などの実績を「客観的な数字」として提示することが不可欠です。「自分の働きがどれだけ会社の利益に貢献しているか」を根拠に論理的な説明ができれば、正当な評価を引き出し、給与アップへ繋がる可能性が高まります。
<参考記事>
転職の年収交渉 相場と給料を上げるコツを解説
3. 会社の就業規則を確認して副業を始める
今の職場で劇的な給与アップが見込めない場合、有力な選択肢となるのが副業による収入源の複数化です。
本業を辞めることなく手取りを増やせる点が最大のメリットですが、行動を起こす前に必ず現在の会社の「就業規則」を確認してください。副業が禁止されている企業で無断で始めてしまうと、懲戒処分などの思わぬトラブルに発展する危険があります。就業規則で問題がないことを確認した上で、本業のスキルを活かせる業務や、将来のキャリア形成に役立つ副業を選ぶことで、無理なく着実に収入アップを目指すことができます。
4. 資格取得やポータブルスキルを身につけて市場価値を高める
将来的な昇給や転職を有利に進めるための自己投資として、市場価値を高めるスキルの習得も効果的です。
現在の職場で「資格手当」の対象となっている資格があれば、取得することで毎月の給与に直接上乗せされるため確実な収入アップに繋がります。また、業界や職種が変わっても通用する「ポータブルスキル(論理的思考力、マネジメント能力、語学力など)」を磨くことは、現職での評価を高めるだけでなく、いざ環境を変えようとした際の強力な武器となります。
5. 給与水準の高い業界や評価制度の整った企業へ転職する
「今の会社ではどうしても昇給が見込めない」「業界構造的に給与の上限が決まっている」という場合は、最終手段として転職を検討するフェーズに入ります。
ただし、闇雲に動くのではなく、これまでに培ったスキルを活かせる「給与水準の高い業界」や、成果が正当に還元される「評価制度の整った企業」へターゲットを絞ることが重要です。まずは転職エージェントなどを活用して自身の客観的な市場価値を測り、リスクを抑えながらより条件の良い環境へとステップアップを図りましょう。
<参考記事>
転職における「市場価値」とは?正しい測り方と高める方法
【実例紹介】「市場価値」の再発見で待遇改善を叶えた転職ストーリー
前章でお伝えした「自分の市場価値を測って転職する」という戦略は、一人では客観的な判断が難しいものです。ここでは、実際に私たち転職エージェントにご相談いただいたことで自分の本当の価値に気づき、大幅な年収アップや待遇改善を叶えた実際の成功事例を2つご紹介します。
自身の適正な市場価値を知り、地方移住と年収150万円アップを叶えたKさん(30代前半)
前職は専門商社で法人営業を担当されていたKさんの事例です。Kさんは高い能力と実績をお持ちでしたが、会社の業績悪化や扱う商材の競争力低下により、連日イレギュラーな対応に追われる日々を過ごしていました。給与も能力に見合っておらず、ご家族が増えたことを機に「将来の資産形成や子育てを考えて、地方都市でのびのび暮らしたい」と移住を伴う転職をご相談いただきました。
Kさんご自身は「地方に行けば年収は下がるだろう」と半ば諦めていらっしゃいましたが、私たちがこれまでの経験やスキルを客観的に評価したところ、Kさんの市場価値はご本人の認識よりもはるかに高いことがわかりました。そこで、これまでの知見がダイレクトに活かせる大手メーカー企業をご提案し、事前の対策でも「即戦力として活躍できる実力」をしっかりと企業側にアピールできるよう言語化のサポートを行いました。
結果として、見事内定を獲得。念願の地方移住を叶えただけでなく、年収も前職から150万円以上アップするという素晴らしい着地となりました。ご自身の本当の市場価値に気づくことの重要性がわかるエピソードです。
評価制度の整った業界へ転身し、将来の生活の安定を手に入れたSさん(20代後半)
従来型の紙媒体をメインとする広告メディアで法人営業を担当されていたSさんの事例です。Sさんは社内トップクラスの売上を誇る優秀な方でしたが、業界全体が斜陽気味であることに加え、会社にインセンティブの仕組みがなかったため、どれだけ成果を出しても年収が400万円台で完全に頭打ちという状況でした。もうすぐお子様がお生まれになるという中で、「このままでは将来の生活や教育費が不安だ」とご相談をお寄せいただいたのです。
Sさんは焦りを感じていらっしゃいましたが、私たちとの面談を重ねてキャリアプランや転職における優先度を明確にし、「目先の基本給だけでなく、長期的に安定して稼げる環境」に焦点を絞って戦略を練りました。そのうえで、私たちから景気に左右されにくく業績が安定しているエネルギー業界への方向転換をご提案しました。
面接ではSさんの高い営業力が評価され、転勤なしのエリア限定職として無事に採用が決定。入社時の基本給こそ微増からのスタートでしたが、長年手厚い決算賞与が支給され続けている地元優良企業であり、さらに手厚い家族手当もつくため、実質的な世帯年収は大きく引き上げられました。個人の努力がしっかり還元される「評価制度の整った環境」へ身を置くことで、生活の安心を手に入れた好例です。
転職で失敗しないために!面接や求人票で確認すべきポイント
転職活動を通じて年収アップを叶えるためには、企業選びや選考の段階で慎重に条件を見極める必要があります。ここでは、入社後のミスマッチを防ぐための確認ポイントを解説します。
基本給と固定残業代などの「給与の内訳」を正確に把握する
求人票に記載されている「月給」や「想定年収」といった表面的な金額だけで判断するのは危険です。提示された金額が、どのような内訳で構成されているかを必ず確認してください。
特に注意すべきなのが「みなし残業(固定残業代)」の有無です。月給が高く見えても、実は「月40時間分の残業代」があらかじめ含まれている場合、基本給そのものは低く設定されている可能性があります。また、基本給とは別に支給される「各種手当(住宅手当、家族手当、役職手当など)」についても、ご自身の状況で実際に支給対象となるのか、支給条件を細かくチェックすることが重要です。
将来の昇給見込み・評価制度・事業の安定性を確認する
目先の入社時の給与だけでなく、入社後に「どれだけ給料が上がる余地があるのか」を見極めることも欠かせません。
企業の評価制度が「成果主義」なのか、それとも「年功序列」なのかによって、昇給のスピードや条件は大きく異なります。ご自身のスタンスと企業の評価基準がマッチしているかを、面接などの場で確認しておきましょう。また、前章でも触れたように昇給の原資は会社の利益です。企業自体に安定した収益基盤があるか、将来性のある事業を展開しているかという「ビジネスモデルの安定性」も、中長期的な年収アップには不可欠な要素となります。
<参考記事>
「いい会社」の特徴とは? 転職で失敗しない優良企業の見分け方
【FAQ】給料が安いことに関するよくある質問
最後に、給料に関する不満や転職活動の悩みについて、求職者の方からよく寄せられる質問をまとめました。ご自身の状況と照らし合わせて参考にしてみてください。
Q. 給料が低いのは自分のスキル不足(自分のせい)なのでしょうか?
A. 決してあなた自身のスキル不足だけが原因とは限りません。給与水準は、個人の能力以上に「どの業界の、どんな事業状況の会社に属しているか」に強く連動します。たとえば斜陽産業や業績が伸び悩んでいる企業では、どれだけ能力が高く成果を出しても、会社側に還元する体力がなく給与に差がつきにくいのが現実です。環境が変わることでこれまで発揮しきれなかった能力が開花し、適正に評価されるケースも多々あるため、ご自身で限界を決めて「自分には能力がない」と結論づける必要はありません。
Q. 給料が安いのに仕事量が多く、求められるレベルが高すぎると感じます。どう対処すべきですか?
A. 求められるレベルが高いということは、会社から期待されている証拠でもあります。まずは冷静に、ご自身がその期待に応え、周囲と比較してどれほどの「客観的な成果(コスト削減や売上向上など)」を出せているかを振り返ってみてください。もし胸を張ってインパクトのある成果を出していると言えるのに、年功序列などの壁に阻まれて給与が上がらないのであれば、迷わず転職を検討すべきフェーズです。一方で、まだ明確な実績を示せていない場合は、まずは今の環境で目に見える成果を作ることに注力するのが昇給への近道となります。
Q. 職場の人間関係は良くホワイトですが、給料が低いです。転職すべきでしょうか?
A. 最終的には、ご自身が今後の人生で「何を最も大切にしたいか」という価値観次第になります。仮に転職して給与が倍になったとしても、過酷なノルマやギスギスした人間関係の中で働くことが、必ずしも幸せとは限りません。今の職場でワークライフバランスが取れており、日々の生活に満足感を得られているのであれば、無理に転職する必要はありません。高い給与、ホワイトな環境、良好な人間関係のすべてを100%満たす職場は極めて稀ですので、優先順位をしっかりとつけた上で決断することが重要です。
Q. 給料が低すぎて生活がカツカツです。すぐに手取りを増やす方法はありますか?
A. 残念ながら、今の会社に要求して「すぐに」手取りを増やす魔法のような方法はありません。手っ取り早く大幅な収入アップを狙うのであれば、不動産や保険などの完全歩合制(インセンティブ重視)の営業職へ飛び込むなどの手段になりますが、それには相応の覚悟と努力が求められます。現実的な対処法としては、会社に依存せず自分自身のスキルを磨いて副業を始めるか、あるいは業績が好調で将来性のある企業へ転職するための準備を地道に進めることになります。
給料の悩みを一人で抱え込まない!本当の適正年収を知るならプロに相談しよう
「毎日一生懸命働いているのに、なぜか給料が上がらない…」そんな悩みの背景には、決してあなた自身のスキル不足や努力不足だけが原因ではないことが見えてきたかと思います。本記事で解説したように、業界自体の利益構造や、みなし残業の常態化、あるいは年功序列といった会社の仕組みそのものが、給与アップを阻む大きな壁となっているケースは少なくありません。
だからこそ、現状を打破するためには「自分が正当に評価される環境」を見極める必要がありますが、自分自身の客観的な市場価値や、本当に年収アップが叶う選択肢があるのかどうかを、一人で正確に判断するのは困難です。そんな時こそ、転職市場のリアルを熟知したプロの視点を取り入れることが、後悔のないキャリア選択への一番の近道となります。
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- 監修者
- 髙野 智愛 (たかの ちより)
キャリアアドバイザー【国家資格 キャリアコンサルタント】
海外大学卒業後、大手製造小売企業に新卒入社。同人事部において年間400名を超える国内外の採用業務に従事。 その後、結婚・第2子出産を機に転職し、誰かのターニングポイントに関わりつつ、地元九州へ恩返しをしたいという想いからキャリアアドバイザーへ転身。 若手層を中心に、いち社会人として、時には女性として、母としてなど様々な視点から転職支援を行っています。
【国家資格 キャリアコンサルタント】